20人の男たち(X/20)還暦過ぎても元気なIくん

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初めに断っておくと、これは私の経験談ではない。

私が愛する親友の武勇伝だ。

(別に私だけ逃げてる訳ではないので悪しからず…)

私の親友は歩くフェロモンだ。

プロポーションは外国人女性のような、

ふくよかな胸に位置の高いウエストにすらっと伸びた手足、

顔は王道をゆく美人ではないが、愛嬌のある可愛らしさがある。

私は彼女のことが大好きだ。

なぜなら、巧みなマーケティングと自己プロデュースで、

成功を収めた数多の男を陥落させてきた。

目的に対してやる事が徹底されている。

本当に不思議だ、居るだけで男が寄ってくる。

ある日、今から帰ると連絡を受けたのに一向に帰ってこない。

翌朝に聞いたら

「中目黒を歩いてたら飲食店Xの社長に声をかけられて、

そのまま美味しいお肉食べてた!」

おいおい、そこそこ高い店やん…。

そんなことは日常茶飯事、本当にしょっちゅう男を拾って帰ってきた。

還暦過ぎたIくんもその1人だ。

Iくん。

それが誰かって、日本最大かつ不動の地位を築いた

某大手企業のドンだ。

数年前に会社が起こした不祥事の責任を取り、

社長から会長に退いた?!が、

彼の存在感(とハゲの後光)は衰えることなく健在だ。

私が初めてIくんに会ったのは、恵比寿のレストラン。

なぜって?私も知らんよ…。

なんで友人の愛人に親友として紹介されなあかんねん…と思っていた。

*愛人と表現してしまったが、Iくんは離婚してるので彼女とも言える

初めての時は、こちらは女3人、あちらも男3人で食事に行ったのだが、

(この表現を不快に思われる男性がいたら誠に申し訳ない!)

その場は合コンではなく、まるで介護現場。

Iくん65歳

Iくんの取引先兼大学の先輩68歳

Iくの会社の後輩57歳

こちとら26歳のキラキラOL

本当に凄まじいよこの図!

店員さんもさぞ驚いたことだろう。

私もこれまでいろんな人といろんな場を経験してきたが、

個室の扉を開いて吹き出しそうになったのはこの時が初めてだ。

サラリーマンをやりきった団塊の世代との話題なんて、

だいたいヤマもオチも見えている。

若い時の武勇伝、男同士面白かった出来事、

それぞれの女経験の暴露。

はいはい、お盛んで♡と思いながらニコニコと聞いていた。

けれど、たった数時間の出来事だったが、

Iくの話し方、話の振り方、話のオチ…これらのキレは半端なかった。

かつ、なんだろうな…カッコイイんだよね、65歳のハゲなのに。

声は低くてよく通る声、

背は高く、トレーニングをしているのかがっしりした肩幅、

テンポの良い会話に、頭の良い切り返し。

大手日系企業に勤めるリア充猛者共を束ねるだけのことがあると、

人としては全く好きになれなかったが、心から感心した。

人は、一人では生きていけない。

生まれた時から誰に世話をしてもらえないと生きられない存在で、

いわば生まれた瞬間から負債を抱えている。

成長するにつれ、コミュニティや企業を通じて社会に参画し、

人と関わりながらその負債を返済していくものだ。

そう考えると、ウン十万人の企業組織のトップとして、

それだけの人に影響を与え、責任も取りながら現役を続けるのは、

そう簡単なことではない。

こういう人がトップに立つんだなぁと、その時本当に勉強させてもらった。

ただ、どんな猛者でもプライドが崩れる瞬間がある。

後日談だが、

彼は病気にかかり、男性器の一部を切除した。

本当にショックだったらしくとても落ち込んでいると彼女から聞いた。

その話を聞いて、うちのワンコの去勢手術を思い出した。

彼も術後数日は、この世の終わりのような悲しそうな顔で

老犬のような慎ましやかな生活だった。

結局、犬も人もおんなじやん、と思ったのを覚えている。

(おわり)

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