離婚の反動を乗り越え、Hくんの荒療治も終えた頃、友人と飲みに出かけた。
その友人はHくんの昔からの知り合いで、共通の友人だ。
一連、離婚話と彼との出来事を報告しながら、神楽坂の店で飲んでいた。
なぜか、彼女と飲む時はいつも赤提灯が下がった店。
神保町で立ち飲み、渋谷のゴールデン街でおでん、そしてその日は神楽坂のしょうちゃんに行った。
しょうちゃんは、とっても変わった店で、銭湯の番頭台のような位置に炭火が並び、3方カウンターで囲まれた6畳間ほどの店だ。
しょうちゃんは、千と千尋の神隠しの釜爺のような…いや調べたら容姿はちょっと違ったけども、キャラクターのイメージとしてはそんな感じのおっちゃんで、ひょっこり猫背で座りながら焼鳥を焼いてくれる。
ここのカリッカリに焼き上げた鶏皮が絶品なのだわ。
(追記)
やばいもん見つけてもうた、この漫画、しょうちゃんの魅力が凝縮されてる笑
「はぁ?おめーもう離婚したのかよ!まじで、笑えねぇなぁ~。」
そんな感じで、ちょっと口が悪いが優しいしょうちゃんに愚痴りながら、友人とお酒を飲んでいた。
(ま、こんな感じで色々あってさ。もう気持ちはスッキリしたものの、しばらく男はいいわ。)
「へぇ、大変だったね。というかHくんはなんなのさ。元々変わってるけど、益々よくわからないやつだね。」
(そうねぇ、真意が聞きたいけど、もういいかな。)
「私もなんだかゴチャついてるよ。私たちみたいな外来種は、日本で男見つけるの大変だよね。」
(……が、外来種?)
「外来種だよ!私なんかアメリカが長かったから、日本のアレコレが面倒なわけ。さっさと副業を軌道に乗せて脱サラしたいわぁ。」
(Xちゃんがそうなのはわかるけど、私帰国子女でもなければ留学経験もないし、外来種って言うほど馴染んでなくないよ…)
「あんた、自分のことわかってないね。結構変わってるよ?」
(外来種なんて言われちゃったら、ますます男はご遠慮だね。価値観の合う女同士で産んだ子供持ち寄って、コロニー作ってワイワイ楽しく家庭築く方が楽しそうだよ。男性とパートナーシップはもう嫌だね。)
なんだかうまくいかない自分に嫌気がさしながら、その頃は女の子とパートナーシップを結んだ方が楽なんじゃないかと真剣に考えていた(今でも思っているけど)。
「あのさ、悪いけど。三十路にもならない女が、男はもういいデスって何言ってるの?たった一回離婚したくらいで。人生この先まだまだ長いんですけど!」
「ともかくさ、気晴らしも兼ねて、後腐れない新しい男と遊んできなよ。そんな内に籠ってたって良いことないよ?女が廃るね。」
「ちょっと、スマホ貸して。Tinderやってる?私、男、見極めてあげるからとりあえず出合い系やろ!」
(あ、はぁ???)
一瞬戸惑ったが、お酒の勢いもあり、とりあえずスマホを渡した。
「最近の若ぇのはやることが違うわ。」
しょうちゃんに呆れられながら、酔っ払った女2人、その場の勢いでアプリにログインした。