妊娠・出産-4 「親バカ」の日仏比較

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子供が産まれて2ヶ月。

ようやく宇宙人のような新生児が、人間らしい乳幼児になってきて、私にも母性がインストールされてきた。

先日ちょうど、産後2日目と同じアングルで私が息子を抱き抱えた写真を撮ったのだが、彼のサイズ比較以上に際立ったのは、私の表情だった。

(アレ…産後2日目の写真…顔が笑っていない…)

アングル的には顔を斜め上から撮っているので、私の顔はハッキリと写っていないのだが、それでも私の表情が硬く(…これ、どないしよ)と途方に暮れながら息子を見つめている心情が見て取れる。

(よかった、今日の写真は笑顔だ…)ちょっと安堵した瞬間だった。


やはり我が子は可愛い、私も一端に親バカをしている。

2人っきりの家では(かわいいわね~上手ね~あなたがいちばんだよ~)と呪文のように永遠と呟いているし、ママの集まりや児童館では(うん、うちの子がいちばんかわいい)と心中でガッツポーズしたりしている。

ただし、どれも、他所様の前ではやらない。

ひっそりと楽しんでいる、そんな自分の行動に気づいた。

一方で、フレンチ旦那は其処彼処でおおっぴらに言う。

先日、旦那が仕事で外泊、息子との対面が(たったの)1日ぶりだったのだが、蕎麦屋で合流した瞬間から、我々日本人からしたら小っ恥ずかしい…いや、他所から見ていたら思わず突っ込みたくなること満載で、思わず注意した。

「あぁ~会いたかったよ、Mon fils.」

私が息子を抱っこ紐で抱えながら4人席のソファ側(対面は椅子2脚)に座っていたのだが、私の隣ソファに座ってきた。

私は、4人掛けでソファ側に並んで座るカップルを冷ややかに見るタイプなので、この瞬間から(ちょ、やめてくれ)と思った。

「ちょっと見ない間に、また大きくなったんじゃない?!昨日は2人ともちゃんと眠れたかな?」

ここで、腕を大きく広げて片方の腕を私の肩に手を回して、息子のほっぺにキスをしながらニコニコと頭を撫でる。

(まてまてまて、ここは蕎麦屋だ、そっちの椅子に座ってくれ!)

「どうして?僕はバスでも電車でもご老人が来たら席を譲るし、今だって隣席にお客さんが来たらどくよ?せっかく久しぶりに息子に会えたのにそんなこと言わないでくれよ!あ!みて!Ohhh Mon fils!僕の顔を見て笑ってる!Biscuit ほら見て!」

(お、本当だ!久しぶりだからかな?すっごく嬉しそう…っておーい!そうじゃなくて、ここは公共の場だからそういうのはダメ!)

「ひどいこと言わないでよ!久しぶりに会ったのにどうして?息子と話をさせてよ!あ、ほら!ほら!見て!すっごく笑ってる!パパだよ~C’est papa, mon fils. かわいいねぇ~!」

そしてまた上から下まで舐め回すようにキスをする…私が抱っこ紐で抱えてる息子に。

ここまでの描写で状態は伝わっただろうか、私が他所の客だったら(あのアホ家族どうにかしてくれ)と店員にクレームでも入れようかと思うくらいだ。

(ねぇ、ここは日本だし、公共の場で、他にお客さんもたくさんいるんだからもうすこし静かにしてほしいな。息子と話すなら、私が抱っこ紐から下ろすから自分で抱っこして…私は椅子に座るからさ。)

「はぁ、ねぇそんなこと言わないでよ寂しいから。君とだって1日ぶりに会ったのになんてこと言うの?ここは日本だけど、家族のコミュニケーションはフランス流なんだから、君もそろそろ慣れてくれよ、わ!また笑った!Mon fiiiils!」

(アカン、こりゃアカン…)と途方に暮れながら蕎麦を待った。

私が蕎麦をすすっている間、旦那は息子を抱きかかえながら、厨房のそばで仲良しの店員さんに息子自慢をしている(一応常連で顔馴染み)。

終いには、居合わせた子連れの家族まで寄ってきて、皆でワイワイと赤ちゃんいじりを始めた。

旦那は、大きく産まれてきたとか、髪がたくさん生えてるとか、僕にソックリとか、聞かされても困るであろう話をしていた。

終いには「ママ、うちのboyもお腹すいたみたいだから、早く帰っておっぱいタイムにしよう。」と、呼ばれる始末。

(嗚呼…恥ずかしい)と思いながら吸い込むように蕎麦を食べ、そそくさとお店を後にした。

(おわり)

目次 テキトーな日本人嫁と神経質なフレンチ旦那