空の上は主戦場

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私の悪友に、歩くフェロモンのような女がいる。

それこそ、20人の男たちで描いたエピソードにもチラホラ登場している。

彼女は彼女で、男をはぐらかす事が唯一の趣味なので、男が寄ってきた暁には私の存在なんて二の次で楽しんでいる。

学生時代、六本木でパーティがあるから行こうと誘われ、なんの特権かチャージ料もなく高級クラブに通された。

私と彼女はお互いウンザリするくらい男の趣味が真逆で、その点において生涯交わる事が無いとわかっているので、だいたいは主戦場が異なってくる。(要するに男を取り合わないし別行動)

その日も案の定別行動、飽きてきたので切り上げようと彼女の行方を探したら、いつの間にやらその空間の上玉を落としてVIPルームでハイエナのような男共に囲まれていた。

当時、彼女と同居をしていたので、勿論一緒に帰るつもりでいた、が。キョロキョロと彼女を探す私の姿を見つけるやいなや、VIPルームの席から彼女が言った。

「Xちゃーん、ここ!ここ!私、もうちょっと居るから先に帰ってて〜!」

(一緒に飲も〜!じゃなくて、先帰ってて!かよ!)と、カチンときつつ、彼女と合流してタクシー代を出してもらう事も考えたが、趣味でも無い男性に交わるくらいならさっさと帰ろうと思った。

だがそんな日に限って外は土砂降り、(私の扱いなんてそんなもんよ)と思いながら、結局自腹でタクシーに乗った。

こんなゲンキンな彼女も今では真面目に働き、家庭に収まった。

え、なんの仕事をしているかって?

CAだよ。

彼女は、神から与えられたその才能を生かし、若手管理職としてキラキラ輝く女性達を率いて真面目に仕事をしている。

そして、残念ながら私が想定よりも長く身の潔白を守って人妻をしている。


先日、久しぶりに彼女に会った。

「ねぇ〜聞いてよ!旦那の女遊びが止まらないから、もう私も隙あらば遊んでやろうと思って!そしたらね、スッゴク素敵な出会いがあったの。」

「見た瞬間から素敵な人だな〜って思っていて、私が担当だったから手厚くご挨拶したの。部下達の中でも(今日の便の中ではピカイチですね!)ってバックヤードでワイワイ話していて、みんなマークしてるわけ。」

(バックヤードでそんな話してるんだ笑)

「そうだよ〜、なんなら後輩には(先輩好みの男性ですよね!)とか言われちゃって。」

(部下に男の趣味が知られているのか笑)

「私たちの担当している路線で現地駐在員をしているみたいなんだけど、この路線でこんなに若くて綺麗なチーフ初めてだってリップサービスしてくるから、私も負けじとワッショイしながら話してたのよ。」

「まぁだいたいさ、この人と何かありそうだなって、男性の振る舞いを見ていればわかるじゃない。もう、部下の間でも期待一身なわけ。」

(あぁ、現地での食い扶持ね笑)

「フライトも終盤に差し掛かっていたから、最後は少し長めのワッショイ合戦でクロージング。お名刺ゲット。(先輩さすが!参考になります!)って、部下達にお土産を渡してあげたわ。」

(なになに、管理職の仕事ってそんな事まで含まれるの?笑)

「あったりまえじゃない!部下達に素敵な出会いの場を提供するために私はせっせとお名刺もらってるのよ、こういう仕事の仕方を教えないとね。」

(なるほどね、それは良い大義名分だわ!)

ふと筆を休めて確認したら、今日はXデーだ。

管理職の大義名分のした、彼女の火遊びは成功したのだろうか。

私は以前聞いた名言が忘れられない。

「航空会社は世界中に不倫の温床を振りまいてるからね。今も地球の裏側のどっかでCAが男と寝てるよ。」

(おわり)

20人の男たち(目次)